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「自費出版の詩集『憧憬』」

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富士銀行に入行して二年目の昭和四四年(一九六九年)に、 M 先生のご母堂のお世話で詩集『憧憬』を自費出版した。内容は高校時代と大学時代に書き残した星菫派的な詩と散文詩を取りまとめたもので、稚拙なものであったが、今となればその当時を思い出す記念碑の一つとなっている。なお「憧憬」という言葉と出会ったのは、倉田百三の『愛と認識への出発』であったことが、今回青春の書を探っていて分かった。 同じ頃に友人の K 君も『ながれ』という本を上梓し、その「あとがき」に「青春の思い出がやっとここに残った」と書いているが、本当にその通りである。若書きの『憧憬』の中から、詩というよりも散文ともいうべき二つを取り出して、ここに書き写しておきたい。   詩集 『憧憬』

「読書会 翌檜」

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  富士銀行広島支店に昭和四三年に入行し、新入行員としての修業が始まったが、昭和四二年入行の First 会と四三年入行のひとみ会のメンバーが、昭和四三年五月に喫茶店・紅蜂で集まり、読書会を結成することとなった。 最初の読書会は六月の某日で、場所は喫茶・紅蜂で開催された。以降読んだ本は、下記の通りである。なお場所は第六回より喫茶・琥珀に変わった。   昭和四三年六月   『愛の妖精』     ジョルジュ・サンド        七月   『愛と死との戯れ』  ロマン・ローラン        九月   『田園交響楽』    アンドレ・ジイド        一〇月  『星の王子さま』   サン=テグジュペリ   昭和四四年一月   『草の花』      福永 武彦        二月   『宣言』               有島 武郎        三月   『虹いくたび』    川端 康成        四月   『青春論』             亀井 勝一郎        五月   『光あるうち光の中を歩め』   トルストイ        七月   『出家とその弟子』  倉田 百三        八月   『あすなろ物語』   井上 靖        一〇月  『新しき糧』     アンドレ・ジイド    「翌檜」ノートに記載してあるのは、ここまでである。この辺りで当読書会は自然消滅したのかもしれない。しかし銀行に入ってもまだ半分学生気分が抜けないでいたような気がする。 小石川後楽園の枝垂れ桜