「いづくより」 美智子上皇后 3
美智子上皇后はまたその御歌の素晴らしさでも有名である。神谷光信の『須賀敦子と9人のレリキオ(敬虔)』という本の中にある「皇后陛下-へりくだりの詩人」の章で、次の御歌が引用されている。
いづくより満ち来しものか紺青の 空埋め春の光のうしほ 美智子上皇后
「この歌を私は酷愛する。一読して忘れがたい作品である。ここには詩人と世界のほとんど神秘主義的ともいうべき交感が歌われているように思う。」
神谷光信
神谷光信をして「酷愛」するとまで表現せしめたこの御歌は、宇宙空間における歌人の神秘体験を詠じたものであり、清らかさと明るさが宇宙全体と同時に歌人をも包み込み、満ち溢れている様子がよくわかるものとなっている。
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