「モーツァルトのピアノ音楽」

 ニューヨークでは結局モーツァルトのピアノ音楽が一番気に入ったので、ドイツ・グラモフォンのレコードも一番沢山購入したのは、モーツァルトのピアノ・ソナタやピアノ協奏曲であった。その他のレーベルも加えて、ピアニストではクリストフ・エッシェンバッハ、グレン・グールド、クララ・ハスキルそしてディヌ・リパッティなどのレコードが多い。それ以外では、マウリチオ・ポリーニ、フリードリッヒ・グルダ、アルフレッド・ブレンデル、ペーター・ゼルキン、ロベール・カサドシュ、クラウディオ・アウラ、エドウィン・フィッシャー、ワルター・ギーゼキング、マレイ・ペライアなどの弾くモーツァルトのピアノ曲を購入している。

最後のマレイ・ペライアは米国人であり、何と出身は私が在米中に住んでいたウェストチェスター・カウンティ〈郡〉のタカホの手前の駅で、長男と次男が生まれたブロンクスビルの町であった。年齢も一九四七年生れと、私より一歳年下である。レコードは下記の通りである。

PERAHIA PLAYS AND CONDUCTS MOZART

  PIANO CONCERTO No21 K467         MURRAY PERAHIA  ピアノ・指揮

 PIANO CONCERTO No9 K271    ENGLISH CHAMBER ORCHESTRA

このレコードのジャケットには、ピアノ協奏曲第二一番について、私が拙著『日本美への彷徨』で引用したアインシュタインの言葉がより詳細に表記されている。

“The whole concerto is one of the most beautiful examples of Mozart’s iridescent harmony and the breath of domain embraced in his conception of the key of C major.  -----When one listens to such a work, one understands why Mozart wrote no symphonies in the earlier Vienna years, for these concertos are symphonic in the highest sense, and Mozart did not need to turn to the field of the pure symphony until that of the concerto was closed to him.”

「協奏曲全体は、モーツァルトの玉虫色のハーモニーの最も美しい例の1つであり、ハ長調の鍵の概念に包含された領域の息吹です。 -----このような作品を聴くと、モーツァルトが初期のウィーン時代に交響曲を書かなかった理由がわかります。なぜなら、これらの協奏曲は最高の意味で交響曲であり、モーツァルトは純粋な交響曲の分野に目を向ける必要がなかったからです。 そのような協奏曲が彼にによって閉じられるまで。」

トリニティ教会(Downtown,NY)


コメント

このブログの人気の投稿

『かくれ里』 白洲正子 「神子の山桜」

「一九六八年から一九七三年の間の読書」

「愛と感謝とで」(ノートの一つ目)