『愛と死』 武者小路実篤
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『愛と死』で滂沱の感涙を流した個所は次の通りである。場面は主人公・村岡が先輩の文筆家・野々村の妹であり、許嫁である夏子の流行性感冒による急死の電報を、フランスより帰国途上のシンガポールにおいて受け取るところである。ボーイが持ってきた電報の内容は、下記の通りであった。 「ケサ三ジ ナツコリュウコウセイカンボウデシス カナシミキワマリナシ スマヌ ノノムラ」 まさに夏子との再会と結婚という天国を控えていたはずの主人公・村岡に、神が下したのは夏子の死という地獄の苦しみであった。なぜ自分にこんな不条理が、試練が与えられなければならないのだろうかと思うことは、人生で幾度もあるものである。その不条理や試練は、変えられないものである限り、決してそこから逃避するのではなく、しっかりと受け止め、我慢強く耐えて、そして乗り超えなければいけないものである。 雨の新宿御苑の桜